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​神戸×水害

神戸の災害と言えば、阪神淡路大震災のイメージが強いかと思いますが、実は神戸は古くから水害が多い地域なのです。そのため、神戸の河川は古くからさまざまな河川整備がおこなわれてきました。

さらに水害だけでなく、阪神淡路大震災の時には川の水が非常に活躍しました。

​神戸の水害や河川整備の歴史について、灘チャレンジの会場である都賀川を中心に見ていきましょう。

目次

○どうして水害が多いのか

○阪神大水害

​○水質汚染

​○阪神淡路大震災

○平成の河川整備

​○都賀川水難事故

○どうして水害が多いのか

神戸市を含む阪神間の市街地に隣接している六甲山系は東西30kmに及び、そこに都賀川も含む大小100の河川が流れています。この六甲山系の河川は、傾斜が急、断層が走っているため崩れやすい、扇状地に都市が形成されている、などの理由から昔から水害や土砂災害が多い地域です。下のグラフを見てみてください。

六甲山系での水害、土砂災害は、明治以降から平成元年までだけでも合わせて29回を超えます。

 

○阪神大水害

その中でも昭和13年の「阪神大水害」は過去最大級の被害をもたらしました。

阪神大水害とは、昭和13年7月3~5日にかけて神戸市に集中豪雨が原因で起きた災害です。河川はすべて氾濫し、岩や倒木が混じった土石流が市街地に流れ込み、周辺は見渡す限りの泥の海となりました。死者616名、被災家屋およそ9万戸という非常に大きな被害をもたらしました。

 

阪神大水害時の都賀川では、豪雨によって山崩れが起き、その結果、上流家屋は土石流に巻き込まれて倒壊し、下流家屋は倒壊こそほとんどなかったものの至る所が土砂で埋め尽くされました。

 

●大被害の原因

このような甚大な被害をもたらした原因の1つが先ほど述べた河川の構造以外に「河川整備」でした。当時の都賀川をはじめ、多くの六甲山系の河川では、両岸がそれぞれ15m埋め立てられ、川幅が1/3程度になっており、川の容量が小さくなっていました。また、水路を地中に埋め立てる暗渠化を進めていたのですが、それが災害時は土砂などで塞がってしまい、水が行き場を失ったことで被が拡大しました。

この阪神大水害をきっかけに、暗渠の廃止、護岸工事、拡幅、堰堤設置などの工事がおこなわれました。

 

○水質汚染

時代は進み、高度成長期、(この間にも昭和36年水害や昭和42年水害などが発生しています)昭和50年初期の都賀川は、未水洗の生活排水が流れ込み、悪臭を放っていました。もともと都賀川でよく見られていたアユも水質汚染で遡上しなくなっていました。そこで地元の人が「都賀川を守ろう会」を結成し、その努力の結果、次第にきれいになっていきました。また、守ろう会の努力と区民からの要望を反映し、都賀川河川公園が作られ、同時に階段、水遊び場などが設置されたり、川にアユが住めるように魚道が設置されました。

 

○阪神淡路大震災

その数年後、1995年(平成7年)に「阪神淡路大震災」が起きました。当時の都賀川は先ほどの時代と比べてかなりきれいになっていました。さらに、都賀川は地震による大きな被害はなく、災害時に生活排水、消化用水としての貴重な水源として広く利用されました。震災時はバケツリレーやポンプで水を運び、消防車のホースと繋いで消火活動をおこなったり、水道が復旧するまでの2~3ヶ月は多くの人がトイレ、洗濯などの水として都賀川の水を利用しました。

神戸にはたくさんの川が流れていますが、震災時にこのように利用された川はとても少ないそうです。都賀川がこれほど利用できたのは

①所々に階段が設置されていたため簡単に川に降りることができた。

②魚道が設置されていたため、水量の少ない冬季でも水がくみやすかった

などが理由にありました。

兵庫県では震災の経験を活かし、「防災ふれあい河川」の整備を進めてきましたが都賀川はそのモデル河川となりました。

○平成の河川整備

平成8年から17年にかけて都賀川は治水面での安全性確保だけでなく、自然環境を再生し動植物多様性を育むとともに、住民の親水空間の利用を考慮することを方針として整備されてきました。

具体的な整備としては、全長2㎞の川にスロープ4、階段13を設置し、誰でも容易に川に降りられるように整備しました。また、子どもでも渡れるような渡り石を設置し、緊急時には対岸へ渡れるようにしたり、石の切れかけに板を差し込むことで緊急時に水をためることができるように整備されています。それだけでなく、自然石を敷き詰める工法を採用することで水生生物や植物が定着したり、魚類が泳げるように水深を確保するなど、生態系を維持することも重視しました。

○都賀川水難事故

しかしその数年後の平成20年、「都賀川水難事故」発生し多くの被害を生みました。これにより水難事故防止設備が整備されました。都賀川水難事故については、「3.都賀川水難事故」で詳しく書いているのでそちらもぜひ見てください。

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